2023年03月17日

現在のEU内EV車の行方?


こんにちは。

もうすっかり春ですね。



今日は「EU」で持ち上がっている問題です。


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ある法案が採決直前でドイツ・イタリアが反対を表明。

成立が危うくなっています。

その法案は「2035年までにEUで販売される新車の乗用車、
小型商用車のすべてを「ゼロエミッション車にする」と
いうものです。

つまり「脱ガソリン車」という事です。

この提案は2021年7月にヨーロッパ委員会によって公表された。

「2035年までに販売する新車をすべて電気自動車にする」
というものです。

※ゼロエミッション車とは二酸化炭素などの物質を
発生させない車両のこと。


ここでいう「電気自動車」とは、エネルギー源を「電気」
のみとする「Battery Electric Vehicle」、「BEV」と呼ばれる。

※ハイブリッド車などは含まれない。


提案は2022年、ヨーロッパ委員会とヨーロッパ議会、
EU理事会の三者で最終的な合意がなされ、同年6月に
ヨーロッパ議会で可決。

あとは「EU理事会」で法案として成立することを
待つだけだったのですが、今や成立自体が危ぶまれている。


2021年7月の時点ではEUのほぼすべての国が賛成の意思を
示していたのですが、「ちょっと待て」という声が出てきた。


そして今回2023年2月にイタリアとドイツが反対を表明。

採決直前に大騒ぎになっている。


ドイツ・イタリアは車産業が盛んです。

※現在BEV車には「助成金」が与えられている。
それが無くなったら、高い車を買えというのかの声。
現状では「脱ガソリン」は無理という声。


1900年の頃のアメリカでは「電気自動車」のシェアが40%。
だが大量生産方式でガソリン車の値段が下がったために
消えてなくなった過去がある。

2016年、ノルウェーの最大政党のノルウェー労働党が
「2030年にすべての新車を廃棄物を一切出さない
ゼロエミッションにする」という声明を発表した。

これは「全ての新車をBEV車にする」ということで、
「脱ガソリン車」を意味している。

その6か月後には当時与党連合を形成していたノルウェーの
中道右派と中道左派が「2025年に全てのガソリン車と
ディーゼル車の新車販売を禁止する」と発表。

その後に環境大臣が「禁止するのではないが、
強い指導力を持って『ガソリン車ゼロ』を目指す」と
ツイートしたが、結局ノルウェーは国として
「脱ガソリン車」に向かった。

このノルウェーの動きをきっかけに世界は
「電気自動車社会」に向かって走り始めた。


※日本のトヨタは「環境車全方位戦略」をとっている。

トヨタは「カーボンニュートラル」を達成するための
戦略を考えた。

「カーボンニュートラル」とは、放出された温室効果ガスを
人為的に取り除くことによって、実質的に排出量をゼロに
するというもの。

@電気だけをエネルギー源とする「BEV車」
Aガソリンと電気エネルギーを利用する「HV車」
BAを利用し、外部電源から電気エネルギーを供給できる
「PHV車」(プラグインハイブリッド)
C水素ガスを利用した「燃料電池自動車」

これらを利用する方向。

それまでトヨタは非難されていたが、今回の
ドイツ・イタリアの発表で俄然トヨタの存在が際立った。



ヨーロッパは環境問題に関して、意識が高いと言われている。

ではなぜドイツ・イタリアは反対をしたのか?

2021年の時点で、ポルトガルやルーマニアなどの国が
「2035年という期限を先に延ばしてはどうか?」という
声を上げていた。

これらの国は経済的な問題から「すべてBEV車」の設備を
整えるのが難しかったり、ガソリン車よりも高い車のみを
販売することによる「国民の経済的な負担」を考えて、
先に延ばすことを提案したもの。

ドイツとイタリアには世界的な自動車メーカーがある。

やはり車産業に従事する人が多いという事。

ガソリン車を止めるという事は、自動車産業界に大きな
変化を起こすという事です。

つまり「失業者増加」の問題が考えられる。

また電気自動車が普及するということは、「電気使用量」が
増えるという事。

ドイツは天然ガスの供給をロシアに頼っていた。

しかし現在ロシアから天然ガスを調達できない。

原子力で電気を輸出していたフランスでは、点検や故障で
多くの原発が停止してエネルギー不足が露呈した。

二酸化炭素を排出しない「自然エネルギー」を重視してきた
ドイツでも、石炭などの化石燃料による火力発電所を
再稼働させたり、原発停止を延期したりしている。

雇用問題だけでなく、エネルギー問題にも不安を抱えた
ドイツは、「脱ガソリン車」に突き進むことを躊躇して
「eフューエル(fuel)も認める」と方向転換。


※efuelとは「合成燃料」のこと。
二酸化炭素と水素を合成して製造される。

二酸化炭素は工場などから排出されたものを利用。
将来的には大気中の二酸化炭素を直接回収する
技術を用いることが想定されている。

そのばあい二酸化炭素は排出されるが、もともと大気中に
あった二酸化炭素を再び排出するので、ゼロカーボンになる。

またイタリアは、雇用問題とともに「政権のアピール」
という要素も含んでいる。

ポルトガルが声を上げた時に、イタリアも声を上げていた。
ドイツよりも先に声を上げることが大事だった。


結局のところまとまらない。

だからこのまま先送りされ、2035年問題は「問題」だけ
提出されただけで終わりそうです。

どうなるか?は今後動きがあるだろうが、
多分数年は変わらないでしょう。

その時に「超画期的」なことがない限り。


今日は「EU内2035年問題」でした。



「富士本宮浅間神社」

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今日もいい日。

ではでは・・

スクラップマスター南

yukimm425@gmail.com




posted by スクラップマスター at 10:37| 二酸化炭素ゼロ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする