2021年08月27日

「再エネ」PPAモデルとは?


先日友人社長からこんな話を聞いた。

色々な会社、それもメジャー大手がさかんに営業に来ると。


「お宅の工場の上にソーラーパネルを設置させて欲しい」

「設置費用、メンテナンスは全てこちらがやります。」

「電気は使ってもらっても構わない」と。

これは一体何なんでしょうね〜、と。


今回勉強していてわかりました。



PPAモデルとは

「Power Purchase Agreement(電力販売契約)モデル」の
略称で、電力事業者(PPA事業者)と需要家(電力の使用者)
との間で結ぶ契約モデルのことです。

例えば太陽光発電のPPAモデルでは、PPA事業者と
需要家の役割は以下のようになります。


PPA1.png

● PPA事業者:太陽光発電システムの無償設置、保守管理、
発電電力における自家消費量を検針し需要家への
電気料金請求などを行なう。

● 需要家:太陽光発電システムの設置スペースの提供、
使用量に応じた電気料金の支払いを行なう。


PPAモデル(第三者所有型)のメリット

PPAモデルを利用するメリットを5点紹介します。

@初期費用不要で太陽光発電システムの導入が可能
PPAモデルでは、基本的に初期費用不要で太陽光発電システム
を導入し、電力会社よりも安い単価でPPA事業者から電力を
購入することができます。
太陽光発電システムの設置費用は、PPA事業者が
負担するケースが一般的です。

A自家消費した電力量について再エネ賦課金を
削減することが可能
太陽光発電システムで発電した電気を自家消費する場合は、
再エネ賦課金(再生可能エネルギー賦課金)がかかりません。

再エネ賦課金とは、太陽光や風力などにより発電された
電力会社が買い取っている電力について、契約者が
分担して支払う仕組みとなっている費用のことです。
2020年度の再エネ賦課金は、2.98円/kWhに設定されています。
再エネ賦課金は年々上昇しており、電気料金を押し上げる
要因の一つとなっています。

(オンサイト・オフサイトにより再エネ賦課金の
発生有無は異なります。)

BPPA事業者がメンテナンスするため管理がいらない
PPAモデルでは、導入後のメンテナンスをPPA事業者側が
担います。
したがって、需要家は契約期間中、太陽光発電システムの
メンテナンスや修理をする必要はなく、維持管理に関する
費用負担やリスクを検討する必要がありません。

Cオフバランス化が可能
オフバランス化とは、資産や取引などを事業の財務諸表
から切り離すことを意味します。
PPAモデルでは、このオフバランス化、つまり資産計上等が
不要となる場合があることもメリットの一つです。
ただし、オフバランス化の可否は監査法人などの判断に
よるため、十分な調査や協議が必要です。
オフバランス化が可能なシステムであれば、資産規模を
圧縮するとともに、経理上・税務の手続きにかかる手間を軽減できます。

DBCP対策ができる
PPAモデルで発電した電力を自社で利用できる状況に
なっている場合、BCP対策に太陽光発電システムを
活用することもできます。
BCP対策とは自然災害などにより事業継続が困難になるほどの
被害が生じたときに、速やかに再開できるようにする計画の
ことです。
太陽光発電システムの自立運転機能に加えて、蓄電池システムを
導入することで非常用電源として備えることができます。

ただし、BCP対策として電力を使用できるか否かは、
PPA事業者との契約内容によります。


PPAモデル(第三者所有型)のデメリット

4つのデメリットを解説します。

@長期的な契約になる(15〜20年ほど)
契約内容により異なりますが、多くのPPAモデルは、
15〜20年程度の長期契約が必要です。
契約期間中、太陽光発電システムはPPA事業者の所有物であり、
太陽光発電システムを設置する需要家による処分や解約は
基本的に認められません。

A契約期間満了後のメンテナンスは自社で実施
PPAモデルの契約期間満了後は、太陽光発電システムの
設備がPPA事業者から需要家に譲渡されるケースが
多く見られます。
契約期間中のメンテナンスはPPA事業者が実施しますが、
契約期間満了後のメンテナンスは需要家側が行わなければなりません。

B自社所有に比べ経済効果が少ない
PPAモデルでは、需要家は太陽光発電システムによる電力を
PPA事業者から購入するため、自社所有での太陽光発電
システムほどの経済効果は見込みにくいでしょう。
初期費用が掛からない、あるいは抑えられるという
メリットがあるものの総合的な判断が必要です。

C導入条件が厳しい
PPAモデルには、導入条件がいくつか設定されています。
具体的な条件はPPA事業者により異なりますが、設置場所
(日射量が十分であるか、積雪・塩害・強風地域に該当
しないか)・容量に関する条件(設置容量が下限値を下回ら
ないか)などが挙げられます。
また、長期契約となることから、与信面での条件が厳しい
こともあり、必ずPPAモデルで締結できるというわけではありません。


PPA2.png

ここまでのメリット・デメリットを踏まえて、PPAモデルと
自社所有型モデルを比較すると以下の違いがあります。

● 所有形態
PPAモデルでは、太陽光発電システムは第三者である
PPA事業者の所有物になりますが、自社所有型の場合、
自社設備として所有します。

● 初期投資
PPAモデルでは、基本的に初期費用が発生しません。
一方、自社所有型では、基本的に初期投資費用が発生します。
(契約形態によっては、初期費用のかからないリース契約も
あります。)

● 資産管理・保守メンテナンス
PPAモデルでは、メンテナンスの実施、それに伴う費用を
PPA事業者が負担します。
自社所有型では、メンテナンスの計画・実施・費用だけでなく、
固定資産税や保険料についても自社で負担することになります。

● 電気料金
PPAモデルでは、有償でPPA事業者から電力を買い取る
という契約形態になります。
自社所有型では、太陽発電システムで発電した電気を無償で
利用でき、余剰電力を電力会社に売却することも可能です。

● 資産計上
会計上の処理としては、PPAモデルでは、契約期間中の
太陽光発電システムはPPA事業者の資産です。
監査法人などの判断によりますが、資産計上の必要がないと
判断されるケースが多く見られます。
一方、自社所有型の場合は、太陽光発電システムを
資産の一つとして扱います。
資産価値を会計に正しく反映させるために、
決算時に減価償却をする必要があります。

● 事業期間
PPAモデルでは、契約期間が長期間(15〜20年程度)に
設定されているケースが一般的です。
自社所有型では、一般的に10年程度で投資分を
回収することができると言われています。

PPAモデル(第三者所有型)導入の際のポイント

PPAモデル導入の際には、以下の点を
押さえておくことが大切です。

● 契約条件の確認
PPAモデルはPPA事業者によって条件が異なります。
太陽光発電システムでつくった電気の買取価格、
契約期間満了後のシステム譲渡の条件、BCP利用の
可否など諸々の条件をよく確認しておくことが重要です。

● 設備譲渡後のメンテナンスの負担
設備譲渡後には、設備のメンテナンスの負担を需要家側で
負担することになります。
したがって、管理に必要な費用や人材、メンテナンス会社
などをあらかじめ想定しておかなくてはなりません。

● 設置場所、容量の確認
機器故障や期待発電量を下回った場合のリスクは
PPA事業者が負うことになるため、積雪・塩害・強風地域
などでは、導入できるか確認が必要です。
また、十分な日射量があるかというのもポイントです。
さらに、設置/運用コストの観点から、設置容量に
下限値を設けている場合もあります。

まとめ

PPAモデルは、基本的に初期費用をかけずに太陽光発電
システムを導入できる契約形態として、日本でも関心が
高まっています。
電力コストを削減できるというメリットに加えて、
保守メンテナンスをPPA事業者に任せられることも
大きな利点と言えます。
ただし、PPAモデルは長期的な契約が前提となっており、
多くの場合、厳しい条件が設定されています。
PPAモデルの詳しい契約条件は事業者によって異なるため、
導入を検討する際には入念な確認が必要です。
(ソーラーフロンティアの記事より引用)

どうでしょうか?

これで「タダでソーラーパネル設置しますよ」という
営業の意味が分かると思います。

「オンサイト、オフサイト」については、別の機会に
書かせて頂きます。


ではでは・・

スクラップマスター南

yukimm425@gmailcom






posted by スクラップマスター at 14:01| PPA | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする